十二のとき閉じこめられた 屋根裏部屋で おれはこの世を知った 人間喜劇に挿絵をつけた 酒倉で歴史を学んだ 北国のとある町の夜の祭で 昔の絵かきたちが描いた あらゆる女に出くわした パリの古い裏通りで 古めかしいさまざまな学問を教わった 全東洋に囲まれたすばらしい住まいで おれはとてつもない仕事を果たし あの高名なる隠退の時を過ごした おれは、われとわが血をかきまわした 今、義務がおれの手に戻った もうあんなことは夢みてもならぬ まさしくおれは 墓の彼方から来た男だ ところが何ひとつ伝えることがない 『イルミナション』より A.ランボー/粟津則雄訳 1978から80年 東京・谷中 |