日記、あるいは、ある断章の提示
1999-9/5〜1/24




また、日記が空いてしまいましたね。私のずぼらな性格がおわかりいただけると思います。
昨日はキャンプの若者達がきていました。昼間はじつに気持ちいいキャンプ日和だったのですが、残念ながら夕方の雷雨にうたれ、晴れたあとも雷がまたなりだしたので、急遽、ヒュッテに素泊となりました。2組が泊まってくれて突然の賑わいです。夜も1Fのバーにとまって、カクテルなど飲ってくれて、私も楽しく過ごさせてもらいました。
新潟県内からキャンプに来てくれる若者がいるのは嬉しいことで、みな礼儀正しいし、帰ったあとの部屋もきれいになっていました。私がこの自然豊かな環境を生かした様々なプランを考えていることを話すと、帰りには「がんばって下さいね」と言葉をいただきました。なにより、隅のソファーに横たわって、「ここ、いいよね」と気持ちよさそうにしていたことが私には最高の喜びです。去年もキャンプに来ていて、若い女の子(たぶんハーフかな、アムロに似ていた)は「星がすごいんで感激した」と話していました。都会から来る中年の人たちも、「なにも無いからいいんですよ」と言ってくれますが、若者達もここの豊かさについては感じていてくれているようです。(5/Sep/1999 T.S.)

下界に降りてうだうだしているうちに、あっという間に1999年が暮れそうな時期ですね。本日、原サチコさんの公演を観にいきました。詳しくは原さんのHPをご覧いただくとして、もう10年以上も映画や舞台を観ていないし、半年を山小屋で過ごす私には、久々に都会にいると実感したし、その公演との邂逅にくすぶっていた自分のエネルギーを呼び覚ましてくれるなにかがあった気がしています。原さんは新春からはドイツ公演とのことです。
<原サチコさんのホームページへ>(26/Dec/1999 T.S.)

山小屋と里のスーパーマーケットなどを往復していて、紅葉の時期は普段より交通量が多いのです。いつもの山道を車で物資を運んでいるのだが、前の車がのろのろと走り、こちらは冷凍食品なども積んでいるのでいろいろ合図をするのだがまったく譲ってくれない。こんなとき運転しているのはだいたい中年から初老の男性である。後ろの車に気がついないのでなく、意地で譲らないといった感じでなのです。融通がきかないし、自分が運転技術で劣っているという事を認めたくないといった風。今頃、もうすぐ定年というサラリーマンなどに、この手が多いのではないかと思う。高度成長期に働き盛りであったはずで、少々仕事が出来なくてもそれを指摘されずに、しかも自分も気がつきたくない。失敗を認めたくなくて、しかもなんでも先送りという輩が多いことが日本の不況の傷を大きくしてきた。失敗やトラブルを楽しめる余裕がほしいですよね。(27/Dec/1999 T.S.)

先日、友人宅へいって遅い新年会をした。新築の公団はきれいで心地よかったが、友人の勤めていた会社が倒産してしばらくのんびり過ごしているらしい。集まった連中はみな40才前後ですべて独身。いろいろ聞いてみると一見なかの良さそうな親もみなトラブルを抱えているらしい。熟年離婚が多いのもうなづけるし、その親は「あんたは1人でいいわねー」と言っているらしい。話しているうちに日本のシステムの行き詰まりだということになる。明治以降の国家主上主義と戦後の核家族がもうどうしようもないのだ。健康な個人主義がまったく育たなかったこの100年のつけは重い。(18/Jan/2000 T.S.)

TVではまたオームが話題である。名称をアレフに変えるというが、体質は全く変わらないとマスコミがたたいている。どこかで聞いたなと思えば、中央省庁の再編で似たようなことを言っていた。名前は変えたり統合したりするが、省庁のお役所体質が変わるわけでもなく天下りも減らないであろう。マスコミも相変わらずその場限りのモグラたたきをやっている。

昨日、安い衣料店でコートを買った。雪も降ったし、スクーターでの移動があまりに寒いので必要になったのである。気に入った服に赤と黒しかなく、珍しく真っ赤な服を買った。帰りは温かく快適だったが、なんだかいつもと少し違う。廻りがこっちを観ている気がするのだ。そりゃ、真っ赤で丸い大きな固まりが疾走していたら何だと思って観てしまうのだろう。年末ならサンタそのものである。でも目立つ服装をするとつい飛ばしてしまうサービス精神はどこから来ているのだろうとも思った。 (19/Jan/2000 T.S.)

吉野川の河口堰についての住民投票があって、反対派が圧倒多数を占めたが小渕はじめ政府は変えるつもりがない旨を放送されていた。夜のニュース番組にも中山なにがしという建設大臣が出て、負け犬の遠吠えよろしくキャンキャンと意味不明の事を言っていた。政治家がたんに官僚の御用聞きに過ぎないという事実がよく現れた放送であったと思う。

今晩は連れが仕事で遅くなって、香港酒場しか開いていないのでそちらへしけこむ。若松町にはいい酒場がない。新宿に旨いものなしとは言い古された言葉であるが、若松町も数えるほどしか深夜に行くところがない。そば屋や寿司屋をはじめ神保町周辺には老舗が多く、かつて時々利用していたことがある。出版社関連のお金持ちがいるからだが、食い物屋に限らず、常連、パトロンが地域の文化をつくって来たのだろう。べつに金持ちだけが作る訳ではないが、日本にまともなパトロンシステムが必要だなと思ったのは会社員となった頃で、10年以上も前だった。いまだ何も変わっていないし、それに変わる工夫もされていない。ゲイツ氏や孫氏もあまりパトロンという柄でもない気がする。

無料メールサービスも当たり前になり、無料プロバイダーも出始めてきている。でも、相変わらずNTTは親方日の丸状態のようであり、それに厚顔無恥な官僚が守りをかためている風でもある。結局、いつも次に何が必要かは簡単にわかるのにそれをじゃまするチンピラが権力に近いところにいて障害になっているだけの話で、時代に関わらず構造は同じであると思う。もちろん補助金システムが全国にチンピラを増加させたことは言うまでもない。 (24/Jan/2000 T.S.)

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