日記、あるいは、ある断章の提示

11/9〜1/31



選抜高校野球で拉致者の蓮池さんの出身校だというので特別枠で選ばれたらしい。政治などとスポーツは別というのが建前の筈。戦意高揚のためにスポーツを利用する北朝鮮を笑えない。実に日本的なスポーツである高校野球であるから、日本的なものは北朝鮮的なものと類似している証拠。最近の北朝鮮TVドラマが取り上げられているが古き良き日本を感じている人さえいるのでは。
さてイラクであるが、大量破壊兵器があるからというのが米国の主張である。かつて国内のクルド人に化学兵器を使ったとしているが、実はこの問題を調査した報告書では化学兵器はイラクのものでなく当時戦争相手のイランが持っていた青酸ガスであるという指摘をしている。にもかかわらず米国始めNHKなどもはじめからイラクのフセインの仕業と決めつけてほとんどのメディアがそう言って常識となっている。(31/Jan/2003 T.S.)

先週はラムズフェルドが欧州をバカにした発言で米国のイラク攻撃への反対の体制を強化してしまったし、小泉氏は「大したことない」発言で支持率を落としたと今晩のTVが伝えていた。でも今回の発言で馬脚を現すまえからニュースなどをきちっと見ていれば二方のお粗末さは分かる筈。TVで注目されたからなんとなく気分がそうなってた国民というのでは困る。
知人に薦められて嶽本野ばら氏の「ミシン」を読む。久々にいいものに会った。小説のなかに「・・二十世紀は野蛮な時代よ」とか「・・知的で洗練されたスノビズムという点において。今の時代はちっとも文明的でないし、趣味が悪い。操作された精神の時代と言える。・・」などストレートで分かりやすい表現に共感できる。嶽本氏は【乙女のカリスマ】と呼ばれているらしく十代の女性の支持がおおきいという。私は昔から少女達ののセンス、感性が鋭いことを認めてきた(ただしまじめに物事にあたる態度をもつということは必要条件)。かつて若い同性愛的趣味をもつ女性のための月刊誌などもよく講読した。吉本ばななも腰巻き書いている「・・主人公たちの高潔な人格が、この汚れた時代を生きていく、ただそれだけで涙を誘うのだ」。でも私たち中年はその下品な時代を少しでも改善するための努力を要求されているとも受け取るべきである。(27/Jan/2003 T.S.)

貴ノ花が終わった。彼とは同じ誕生月日でなにかと気になってきた(他には淡谷のり子も同じ)。引退会見で「相撲道」という言葉を使っていたが彼以外で「道」という言葉を使う若者はもういないのではないか。この時代錯誤のような、しかしながら彼の人気を支えていたものもこの「道」という日本オリジナルの不思議な概念へのノスタルジーでもある。小泉氏がはからずも彼を利用したことはこのあたりも起因しているか。そして貴ノ花の引退式は6月1日とういうことで、ちょうど国会閉会寸前である。支持率アップにまたこれを利用しようと画策するか。でも今後、貴ノ花はプライベートな場面でまったく「道」という言葉とは正反対のイメージを見せていくのではないかと思っている。
トヨタがミニバンの新車を発表したがあいかわらずつまらない。昨年の新車の総括を書いている車雑誌もトヨタにはきびしく、ワクワクするものがなく本当に商売しか考えていないのだねという評価は広がっている。これだけつまらないデザインが続いていると、デザイン部門ではどんなお家騒動があったのかと疑わせる。
米国は北朝鮮との対話をさらに進めるようすで、日本は完全に置いてきぼり。5人を絶対返さないと決めた時にこの流れはとっくに出来ていた。ヒステリーを支持した人はちゃんと反省すべき。でもなにごとにも反省しないのが今の日本人であることがいちばん大きな問題。(20/Jan/2003 T.S.)

今日の東京は風もあってけっこう寒い。物理的な寒さもあるのだが景気の寒さも一段ときびしいなか4銀行は土曜のATM引き落とし手数料を横並びで取ることにして、またブーイングの嵐。小泉氏の靖国参拝に韓国などはきびしい姿勢で外相との会談も挙急遽とりやめになった。北朝鮮問題を話し合えなくなってしまった。間の悪い人たちが日本のトップに居座っているという現れ。
プーチン首相は小泉首相には協力するとはいいながら積極的なかんじではなかった。ロシア(プーチン)には小泉氏はもう死に体に近いから協力してもしょうがない、見返りが確実ではないと見られているのではないか。
米国は北朝鮮にたいして軟化してきている。米国に利害がないからほっておいたのだがイラク攻撃をすすめる上であまり北朝鮮が騒ぎすぎることがじゃまになってきたので、静かにしてもらうために餌でもやるかという意識なのだろう。(15/Jan/2003 T.S.)

まだまだ強気の金正日であるが、小泉氏と似ているところがある。「やるぞやるぞ」と言いながら決してなにもしないところ。
「丸ビル」が少し前までTVなどでよく取り上げられていて、レストランなどがとんでもなく混んでいる様子が映し出されていたが、そのお客は地方のお上りさんでだいたいは中高年の熟女グループだった。彼女らはともかく流行物がお好きのようで「丸ビル」の次は当然「汐留め」。「丸ビル」は最近では空いてきたようである。金と暇をもてあました彼女らの仁義無き流浪はつづく。(13/Jan/2003 T.S.)

昨日は北朝鮮がNPTから脱退したことを新聞はトップニュースにし、米国も怒っているだろう。金正日は米国とのゲームを楽しんでいるのだ。イラクへの制裁を国連安保理で近々成立させたい米国は安保理に北朝鮮問題を上げさせないようにしている。核の問題があるのだから本来ならば安保理では北朝鮮問題をまっさきに取り上げるべきなのだが、米国はイラクへとの戦争を優先させたいため、それを押さえている。その矛盾をつくように金正日は執拗に過激な言動にでているという訳だ。ただ北朝鮮と金正日への非難を唱えるだけのマスコミはちゃんと裏も分析して見せるべき。
小泉氏は北朝鮮問題でロシアに援助をたのんだが、とうぜん見返りを要求されたと見るべき。声明のなかに北方領土に関するロシアの見解も含まれていることを知らせるマスコミはほとんどない。ロシアは4島返還でなく2島返還しか認めないことが書かれていて、日本が了承してはいなくともロシアの主張として書かれたことは大きい。たぶんチェチェン問題でも日本がそれを責めない、ロシアの内政だからと日本は関知しないなどの裏取引があるはず。今、北朝鮮問題しか日本国民は見ていないから簡単にだませる。
昨日はしばらくぶりで茨城のソバ屋へ。年末にTVにでていたので心配したが案の定お客でごったがえしていた。高速のインターからも遠いので都会の客はいなかったが、水戸などから中高年を中心にTVを観て来たであろう人々でいっぱい。客が突然増えたためか急遽日曜祭日を休むという。しかも私が評価していた変わりソバも止めてしまった。食べたソバも力無く迷いが見られる。質の落ちた客層にかかわらずいいソバを出して欲しかった。
そして今日の昼はかねてから気になっていた都内のソバ屋へ。小さなソバ屋は駅からもかなりあるし駐車場もなくTVにも出ていないから堅実な仕事。最近のそばブームというのはちょっと狂気じみていいるし、それに輪をかけてラーメンブームと言うのもすごい。他に健康、ダイエットブームというのもあるがどれも不況時に似合った金のかからない楽しみではある。だいたいはメディアがあおっているのだが、他のTV局や他誌で流行ったからうちもやろうという姿勢が多い。惨めなメディアサラリーマン達が作っているのであろう。(12/Jan/2003 T.S.)

小泉首相がハバロフスクに立ち寄ることには色々裏がありそうとの報道がある。もちろん何かあるのだろう。またパフォーマンスで落ちてきている支持率を復活させたいという思いはあるに違いない。しかし、ロシアに借りをつくる形で外交を進めることは将来に問題は残さないか。鈴木宗男と同じように利用されるのではないか。
ゴジラが上陸とニューヨークでは大きく取り上げられているらしいが、大リーグでの活躍ははたして約束されているのだろうか。たぶん懸念されるのは彼のメンタリティー。あまりにも日本的、田舎者(もちろん日本のジャイアンツも)的な性格なのではないか。野茂に見られるような反逆精神は彼にあるのか。(10/Jan/2003 T.S.)

小白沢ヒュッテの日記と重なるが、小出中学1年生の桜井未来さんの作文が「全国中学生人権作文コンテスト・県大会」で優秀賞を受賞し『「自分らしさ」を表現するといじめられる。それは人権を無視したことなのに社会が作り上げたおかしなシステムにながされて表現できない現実がある。いつか世界中の人々が「自分らしさ」をお互いに表現し合える日が来ることを祈っている』というのだ。ひとりひとりの情けなさでなく社会システムが情けないことは中学生でも感じている。
北朝鮮の番組が日本を泥棒、カラスなどにたとえてぼろくそに言っていたらしい。もちろん嘘八百なのは他の国の人は知っているから信じないだろう。では日本や米国のメディアがすべて正確に事実を伝えていると信じるおめでたい人はどれくらいいるだろう。911以降、しばらく米国では9割以上のおめでたさであったという事実。拉致者に関する日本人のヒステリー。どちらも冷静さに欠けているのは明らかであるが、どうやったらメディアの嘘を見抜けるかについて考えると、だまされる可能性も大きいが見抜くヒントとなるのも映像である。簡単には「顔つき」、少しテクニカルになれば映像の作り方である。プロパガンダのテクニックの裏を分析するくせをつけるべきであろう。(6/Jan/2003 T.S.)

TBSでは今年のクリスマスも小田和正氏の番組をやっていた。昨年ほどのインパクトはないにしてもほぼ観ていた。昨年の観客はかつてのお嬢様のころにオフコースを聞いていたファンがこぎれいなマダムになって集まった同窓会という雰囲気だったが、今年はもう少し若い女性も混じっていた。彼女達には、なかで歌っていた70年代の古いオフコースの曲などは初めてかも知れない。詩に関しては今の小田氏のものより明らかにいいと思える。当時、学生運動が盛んでありフォークブーム。世の中を批判する歌でなければいけないという雰囲気で、オフコースはライブをやると「恋」を歌うなどもってのほかと袋叩きにあったものだ。今も北朝鮮を批判しなければ人でないという情景と同じで日本人のおつむの軽さが変わらないことを示す。
その裏のNHKでは「知」は誰のものという題目の特集のようであった(「変革の世紀」の再放送だった)。題を観れば内容はだいたいわかるし、また再々放送もあると思いCMのとき廻す程度。特許や知的所有権でリードする米国がグローバル化をすすめ、新しい形の植民地化を全世界に広げて居る事への警告がたぶん含まれている筈だし、この事はこの日記でもかなり前から書いていると思う。「知」も「音楽」も皆を楽しめられる事は当然独占すべき物でなく共有するべきもの。共有する喜びを得るべきであるのは言うまでもない。もう大きな富を得るための手段としての特許や知的所有権に関する今の制度が時代遅れになってきているということ。(25/Dec/2002 T.S.)

そば屋へ行った。それは東京から遠くに引っ越したJ庵。実は主人の出身地であるということを最近刊行のそば屋を紹介した本で知った。かなりの田舎で近辺は秀逸なそばを産出する地域であり新しい店の建物もなかなかの雰囲気で景色も見事。新そばの「そばがき」はさらに磨きがかかっていた。
かつて東京では全く装飾のない小さな無彩色の四角四面の店で愛想もなく喫煙や子供の客を嫌い、金を払ったのだからと接客サービスを要求するタイプの客とぶつかっていたと聞く。もちろん今も接客はまったくそっけない。そば屋としては極北を感じさせるもっとも個性的なスタイル。もちろんそばそのものも類型がさがせず、蘊蓄というやぼな言葉からも最も遠いどちらかというと芸術家肌の仕事。けっして客に媚びない姿勢は俗人には理解できないかも知れない。ビジネスを越えた仕事というものがあることを知らない人が増えているとしたら悲しいことである。
前出のそばがきはもちろん肴もかなり充実している。地のものを利用した品書きが並び、酒飲みの頬をゆるませてくれる。窓のすぐ下には桜の木があり、春の景色を思うとまた嬉しくなる。今日、客は5、6組いた。たぶん有名なそば屋と聞いて来たのだろうが、その個性的なスタイルのそばを食べてどう評価していいのか分からず、そのまま黙って帰って行った。たぶん車のなかで「少し高いね」とか「部屋が寒いね」とか言っているのではないか。少し店が立派で広くなりすぎたのではという思いが徒労に終わることを祈る。(23/Dec/2002 T.S.)

韓国では僅差でノ・ム・ヒョン氏が勝ったのだが、前日になって韓国サッカー協会会長で議員のチョン・モン・ジュン氏が突然の支持撤回というひどいどたばたがあった。親米派のイ・フェ・チャン氏を勝たせるよう米国が動いたかも知れないと考えるひとは多いだろう。他国の政権に手を突っ込んだり、果てはクーデターをしかけたりというのは米国のお家芸ですから。サッカー協会会長のチョン氏は見るからに権力志向の顔で、前からいかがわしい奴だと思っていたが正解であった。しかし、今回の選挙ではインターネットによる若者の連帯がノ・ム・ヒョン氏を勝たせたともいえる。世界の情報を操作しようという米国の発明したインターネットが反米派を勝たせる要因になったということは実に皮肉なことだ。そして世代間の支持がまったく対立した選挙になったというのも新しい形だ。古い世代を追っ払うのは若い世代以外に無いことの証明。ただ、同じ様な事態となったときにはたして日本の若者が行動できるかというとまだまだ不安はある。でも確実に若者は賢くなってきていると信じている。(21/Dec/2002 T.S.)

7人の侍は仲間割れしたのだが、実は随分前から国土交通省の役人と自民党の抵抗勢力の議員がぐるになって7人の委員とは別の道路建設のシナリオを書いていたということだ。つまり最後になって今井委員長が辞任するなどの騒ぎを起こして答申の信頼性をなくして役人が作った再建案を持ち出すという出来レースの一部であったということ。役人はもうすぐ小泉首相はいなくなると思っていて、抵抗勢力議員と仲良くしほうが天下りなど自分の将来に都合がいいと判断したと言うこと。あいかわらず甘えん坊の役人達である。(7/Dec/2002 T.S.)

来週、民主党の代表選挙になるが菅氏は本気なのだろうか。鳩山氏が自滅するまでは来年あたりに新党を立ち上げるつもりだったのではないか。今回勝つ必要はないと考えていないだろうか。もう死に体の民主党をかかえてもどうにもならないと思う。かつての「新党さきがけ」のメンバー中心で小さくとも動きやすい組織を作ったほうがいいのでは。同じ事は日本の様々な組織に言える。少数精鋭でスピーディーな対応が出来ないともうもたない。自治体も会社もなんでもそうだ。ゲリラ、テロからも学ぶべき事はあるということ。
小泉氏が道路公団民営化で最後になって今井氏にそっけなくなったのには訳がある。すでに自民党内で次回の総裁選では小泉はお払い箱ということが常識となって来ているため、それに対抗するためのもの。再度、抵抗勢力との対立の構図を作って支持率をもたせて延命を計りたいのである。でも同じ構図を作るだけではかつての高支持率は望めない。早く成果をと国民は求めているのだから。(6夜/Dec/2002 T.S.)

道路公団民営化諮問委員会で今井委員長は多数決はいやだと言って逃げ出したと言うことだ。今井氏はエリート中のエリートだったらしいが自分のシナリオ通りにいかないから辞めるというのはみじめだ。多数の委員長を歴任してきたらしいが、これまでと同じやり方で切り抜けられると思っているのだとしたら日本沈没の戦犯の一人なのだろう。棺桶入りを前にして初めての敗北だったのかな。自民党の古賀氏と近い人間らしいから、だめそうだったら辞めて答申にけちを付けるようにと助言を受けていたのかも知れない。民営化がうまくいくかは別にして今回のドタバタが国民に見えた事はいいことである。これまでは何が議論され誰が決めたのかもまったくヤブの中だったのだから。
高円宮の葬儀は先週だった。私の勤めていたワイン会社の社長と高円宮様は懇意だったので私は赤坂御所にワインを届けたこともある。皇族の中ではまともな人として評価が高かったので若くしての逝去は惜しまれている。でもこれから起こるであろう政治経済の泥沼を見なくて済んだという言い方もある。(6/Dec/2002 T.S.)

いつもの天丼屋にいきました。スクーターを走らせながら半年ぶり以上だなと思いながら。1時近くだったからかいつもの混みはなく上天丼はわりと早く出てきた。いつもよりアナゴに少し火が通し過ぎかなとも思ったが、やはり旨い。美味しいと言うだけでなく魂が満足するのだ。こういった満足感を与えてくれる店はそんなにないのですよね。
拉致問題はやっぱり動かなくなってきた。「約束をやぶった」と言わせてしまっては進まないのはあたりまえ。結局、官邸や外務省内の主導権争いの方を優先させているから、強行にやるのだと言って情緒的な国民を喜ばせることは簡単だが結果はまったく出せないだろう。阿部氏もマスコミ操作は巧くてもただそれだけのこと。しかし相変わらず蓮池兄が出しゃばっているが、あの顔はいただけない。じつに下品な顔立ちだしまるで犯罪者の顔だなと最初思っていた。現在、北朝鮮に残った拉致者の家族が人質なのでなく、じつは北朝鮮の一般国民も含めて人質にして金と物資を要求しているということを確認すべき。北朝鮮国民が困るから強行につっぱればいつか折れてくるだろうというのは甘い。(5/Dec/2002 T.S.)

やっと山を降りてきました。数十年ぶりの大雪で皆大変でした。
下界におりでTVを見ていると、中央は道路公団問題や不良債権問題でまたごたごたしている。先日は「地域おこし」のことを書いたが不良債権も地域おこしも一発で片が付くわけでなく、ひとつひとつの会社、ひとつひとつの自治体、ひとつひとつの店舗をそれぞれのやり方で改善してくだけけの話で「特効薬」などあるわけもないことを確認すべき。(9/Nov/2002 T.S.)


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