日記、あるいは、ある断章の提示

10/16〜31



ブッシュは野球のワールドシリーズの試合の始球式に出て、そのために厳戒態勢となり、その時間は航空機の離発着も規制される事態となったらしい。別に大統領が出る必要もないのにこの時期に40数年ぶりの大統領の始球式をわざわざセッティングしたブッシュは本当のアホですね。でも、厳戒態勢をとった警備陣もかわいそう。なぜって、テロリストはバカな大統領をわざわざ暗殺したりはしないのです。いろいろ失態を演じてくれる大統領はそのまま残ってほしいし、米国の愚かさの象徴として残したいと思っているのが分からないのでしょうね。(31/Oct/2001 T.S.)

アフガンでは誤爆が続いているらしい。コソボの時も中国大使館への誤爆があって問題になったはず。明らかにパイロットが低空を飛ぶのが怖いので高空からおおざっぱに爆弾を落としているとしか思えない。命が惜しいのに戦争をするというのは矛盾しているのだ。たぶん一番命が惜しい連中は政治家であろう。最近になって、やっと『正義』を声だかに叫ぶことの愚かさを指摘する時評やコメントが出始めている。(30/Oct/2001 T.S.)

山の紅葉はもう終わりが近い。枯れ木も目立ってきているし、人出も一段落してちょっと寂しい風情である。知人が泊まりにきて昨夜は小宴となったが先ほど帰って、また一人の宿である。今晩は冷えそうだ。半月が冴え冴えとした光を放っていたがすぐ近くの山の尾根にしずんで星たちの出番だ。同じ凍るような星の下でアフガンの兵士も難民もニューヨークの遺族も冷たい夜を迎えている。命令を下すだけの厚顔達は温かな食事でもしているのだろうか。(25/Oct/2001 T.S.)

炭そ菌に効く抗生物質について、特許(ドイツ・バイエル社)をはずすという動きがあるらしい。戦時下だからなんでもあり、という発想で米政府のやりたい放題になりそうだ。かつて、特許を声だかに主張し世界中から金を巻き上げていたのは他ならぬ米国である。またこれは国と国の戦争ではなく、相手を特定しない戦争になっている。つまり政府に都合のいい敵を作って(でっちあげて)やっつけるいい口実でもある訳だ。こんなものが正義である筈もない。西欧諸国は右へならいしてるが、国家とはなにかを考えるいい機会だ。かつて東西関係がなくなる頃(デザイン会社にいた20年近く前)、国家や覇権企業による国民への搾取へとすすむという問題を取り上げた(P・ヴィリリオなど)がその通りになってきている。日本は官僚によって私物化されているのは現れてきたし、他の国家というものも一部の人間のおもちゃとして私物化されてはいないか。もう近代国家というもの自体が耐用年数を過ぎて溶解すべき時に来ているのかも知れない。したがって、山にこもって小さな共同体を維持するのがふさわしいと言えば我田引水であろうか。まずは米国にはない『恥の文化』を構築するところから始めるべきか。(23/Oct/2001 T.S.)

炭そ菌はじわじわ広がっているが、どうも変だ。最初の飛行機のテロは手際が良かったが、炭そ菌はなんだかださい。手紙の右下がりの稚拙な筆跡や、やりかたの行き当たりばったりな感じは若くておたくな感じのあまり理知的でない男性の単独犯を想像させる。飛行機の自爆テロに比べていい仕事とは言えない。テロはドラマとして美しくなければならないから、まったく落第である。
また、今回の報復攻撃に関してウエブなどへの書き込みのなかでイケイケな感じの、まるで右翼かと思わせるものが結構あるし、しかも年齢にかかわらず女性のものが多い。自分は戦争には行かないけど男どもの尻をたたいて戦ってこいと言わんばかりである。「小泉ファンクラブ」のおばさんたちなのであろうか。「自分は自分で守る」とか「平和ぼけがいけない」など幼稚な田舎のアメリカンと同じ意識なのには驚かされる。どうもマスコミが米や日本政府の話をそのまま無批判に流していることや、自分の頭で考えることを数十年やってこなかった生活態度などがその元凶なのだろう。ただ、やられたらやりかえすのが今の流行りみたいだからというだけ。日本人の多くがチンピラになってしまったと、ずいぶん前から思っていたが。(20/Oct/2001 T.S.)

炭そ菌は米議会にまでひろがっているらしい。最初3件の場所が地図上で直角三角形になっていたなと思っていた。でも凝るなら、点を結ぶとアラーの神の紋章になるとか、フセインのサインになるとかがふさわしい。
知人からの情報で、ビル・ゲイツのインタビューがあって「グローバリズムは悪いことじゃない、我々は進歩を信じる」と言っていたらしい。でもマクドナルドしかない食生活に私は耐えられない。これまで1種類の生物が繁栄を謳歌した直後に絶滅はかならず起きてきた。子供でも知っている生物の歴史である。「繁栄は絶滅の序章」なのです。ヒュッテの前で、昨年はオオツキミソウが大発生し、今年はママコノシリヌグイが大発生している。安定した植生が続くことはないのである。モダニズム教育ではこのあたりが特に弱い。(18/Oct/2001 T.S.)

スーザン・ソンタグが今回の報復攻撃やブッシュのアホさについてコメントしたらしく、それにかみついている米国粋主義者が多いらしい。詳しい情報をご存じの方がいたらお知らせ下さい。blanc@cocoa.ocn.ne.jp
山はしとしと雨がふり、大変静かです。さっき小出警察の2人がテロ関係でこんな山奥まで見回りに来ました。若造でしたがたぶん刑事か公安ですね。鷹巣にビンラディンのお友達がいると思ったのでしょうかね。でも来たらいつでもかくまってあげましょう。衛星通信電話を使っているということでは、アフガンのテロリストと同じヒュッテです。(17/Oct/2001 T.S.)

山小屋がそろそろ店じまいなので、また日記が再開します。

秘境に居る間に戦争が始まってしまいました。この日記にテロのことを書いたおぼえがあるので調べた。1年くらい前かなと思っていたが1999年4月だった。『・・・米政府と覇権企業がテロの標的になる日は避けられない気がする。(25/Apr/1999 T.S.)』という下りである。ビンラディン氏らはかなり前から準備した様子だから、私が書いた頃とニューヨークのテロの準備を始めた時期はだいたい一致しそうである。その頃はアルカイダのことなど知らなかったが、米のグローバリズムの押し売りは問題があるという視点にたてば、当然の帰結であろう。

それにしても「ブッシュや小泉はバカだねー」というのが一般的な市民の見解だと思うし、私の周辺の若い友人たちも同じ考えなのだが、マスコミに流れてくるコメントは全く違う。マスコミが一般人の常識から遊離してしまっている日本は情けない国なのだ。

しかし、軍出身者ばかりの閣僚にしたところに戦争とはあまりにタイミングが良すぎますね。ブッシュが経済政策に自信がないので支持率を上げるためにビンラディンとつるんでやらせの戦争を仕組んだというシナリオは笑えるでしょうか?

あと、炭そ菌がかなり送りつけられているようであるが、それが最終的なバイオテロだろうか。炭そ菌は見せ玉で、その対策や抗生物質の増産体制をとったころに、その対策が逆効果になるような別のバイオテロを仕掛けるというのが効果的だと思う。米のマスコミがターゲットというのも何かあやしい。もしくは事前に製薬会社の株を買っていてそれが上がるのをまっているか。(16/Oct/2001 T.S.)


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